肩甲骨〜ウエストのシワについて

【質問】

今肩パットなどは入れずジャケットを制作しているのですがどうしても肩甲骨からウエストの絞り位置にかけてななめにしわができてしまいます。

これはどういった場合に出るしわなのでしょうか?

肩パットを入れずに制作した場合はこういったしわはでてしまうものなのでしょうか?

【回答】

まず、いくつかの原因を考えてみましょう。

1) 身巾より肩巾が広い場合
2) 肩傾斜が体に合っていない場合
3) ボディーに着せた時は良かったが、人が着たら肩が落ちた

【1の場合】
肩パッドが入っている肩巾より少し狭いサイズにします。

肩パッドが入っている肩は多少広くても肩パットによって固定されているので落ちにくくなります。
従って肩パットが入っていた肩巾より狭くする必要があります。

【2の場合】
肩傾斜を体に合わせることが大切ですが、体型は同じ人がいませんので、不特定多数の人に合わせる場合に必要な肩甲骨等の曲線をどのように収めるかが大切になります。

例えば、肩縫い目は直線ではなく前後機能を付ける。後中心の肩甲骨位置にイセを入れる。
これは素材によってイセる量や曲線の描き方も異なります。

肩パッドが入らない時の平均肩傾斜を確認してください。
メンズ技術大百科テーラード風カジュアルジャケットに記載しています。

【3の場合】
ボディーは仮のものですから、あまり忠実に合わせるのは危険です。
人の体の三角筋より肩の先端が太く出来ているボディーが多いので、出来れば標準の人に合わせてください。

nyassama : 09:04 | Com (1) | メンズパターンプロフェッショナル topへ ▲

くせ取りについて

【質問】

メンズのテーラードではいせたり伸ばしたりとアイロンワークでのくせ取りががすごく重要になってくると思うのですが、コットンのような熱可塑性の無いような生地の場合でもジャケットを仕立てる際にはウールのテーラードを仕立てるのと同じように仕立てるものなのでしょうか?

それだといくら重要な個所に芯を添えてもやはり着ていくうちに形が崩れてしまう気がするのですが既製品などではどのように仕立ててあるのかがすごく疑問です。

工場に縫製を依頼して量産されているようなものの場合はウールのジャケットでもアイロンでのくせ取りなどは行わないのでしょうか?

その場合はパターンワークでくせ取りを行うようなパターンになっているのでしょうか?

【回答】

ウールと綿は、まったく違う素材です。

ウールは重衣料としてスーツ等に使い、綿はカジュアル・ウエアとして崩したオシャレで着用されます。

ウールは熱可塑性を利用してして縫い目だけでは表現出来ない箇所へアイロン処理によって体に合った曲線を出す目的があります。

袖のイセ等も多い少ないを調整してデザインの対応も容易に行うことが出来ます。

綿素材はイレギュラーでウール素材の生産方法で行うこともありますが、本質的にはまったく違うもので、この場合は接着芯を使用した仕様になります。

又、パターン作成についても融通が利かない素材ですから、曲線も極端に出してはいけないし、袖のイセもウール素材に比べて約50%は少なくする必要があります。

アイロン処理もウールで行っている真似程度の必要性はありますが、ウールのように行うことは出来ません。

と言うわけで、ウールと綿は分けて考えてください。

nyassama : 12:07 | Com (0) | メンズパターンプロフェッショナル topへ ▲

前裾が上に上がる現象

【質問】

かなりの反身体なのでどうしても着用すると前裾が上に上がる現象がおきます。いろいろやってるのですがなかなかうまくいきません。

【回答】

反身体は前身頃が長くなって後身頃が短くなります。反身体の人の服を普通体型の人が着用すると前裾が開いてしまうので2度手間になりますが、反身体の人に服を合わせる為には、次のように行ってください。

※反身体の人は肩下がり(撫肩)の方が多いようです。

※屈身体の人は肩上がり(怒肩)の方が多いようです。

※例外的な場合もありますので、しっかり体型を観察してください。

1図は普通体型の人とします。体型の一番変化する箇所は太い線の部分になります。ただ、体型は100人いると100人とも体型が異なりますので、この回答で済まないこともあります。

【追記・補足】

上画像だと「太い線」がわかりませんね・・・。2図で前身頃を開き、後身頃で摘む箇所の1図の線の部分のことです。2図と見比べればわかると思います。

※前身頃で切り開きます。この時、シーチングでトワルを組んで行って見てください。切った箇所へ別のシーチングを止めながら前裾が拝まないように調整してください。

※反身体型の人は、後身頃が余りますので摘みピンで止めます。後身頃を摘み過ぎると裾が撥ねるので確認しながら行ってください。

※但し、これはオーダーメイドでは無いので普通体型の人が着用した場合は前裾が開くので注意してください。

nyassama : 21:19 | Com (0) | メンズパターンプロフェッショナル topへ ▲

ジャケットのパターン作成について

【質問1】

回答を読ませていただいていると肩線が後ろに移動されたジャケットについて書かれていたのですが実際にパターンを作成する場合にはどのようにすればよいのでしょうか?

さっきやってみようとして単純に後ろ身頃に切り替え線を入れて切り取った部分を前身ごろにくっつける感じかと思ったのですが寸法が合わずうまくいきません....。

【回答1】

パターンの作成者がどの様なパターンを作成しているか分かりませんので、普通の考え方で説明します。

長さが合わないのは当然のことです。後身頃の肩巾を変えないのであれば、前身頃側の肩の長さ調整を行ってください。

まっすぐな肩線であれば、単純な長さ調整と曲線のつながりのみです。

回答2の肩曲線であれば、肩先側を合わせてアームホールを描くこととN側の肩曲線を合わせてネック・ラインを合わせることを2箇所で行います。
                                            
【質問2】

前機能を付けるためにアイロン処理するとはどういうことですか?

【回答2】

人間の体は各パターンのパーツでは表現できないほど立体ですので、それを表現するためにアイロン処理を行います。

この状況を理解して頂くために、動画サイト『井口喜正のメンズ技術動画』の中にパンツのクセトリ動画がありますので一つの例として参考にしてください。アイロン処理の方法は異なりますが、意味は同じです。

ジャケットの肩を前機能にするためアイロン処理を行うのであれば、N点近くの肩を合わせた時、肩先が1cm〜1,5cm重なるように肩曲線を描いてください。

【質問3】

今肩パットなどを入れないでジャケットを作成しようと思っているのですがその場合は肩傾斜などをパッド分プラスしないで作成すればよいのでしょうか?

【回答3】

その通りです。

【質問4】

よくシャツ地のジャケットなどで肩パッドなど入っていないものを見かけますがどういったパターンになっているのでしょうか?

【回答4】

これはカジュアル・ジャケットですので、名前の通り自由にチャレンジ出来ますから、自分でまず行って、どうであるかを確かめる事が、技術を勉強する上で大変重要です。

そのような積み重ねが今後色々な事生かされると信じています。自分自身の追求心が大切です。

nyassama : 18:13 | Com (0) | メンズパターンプロフェッショナル topへ ▲

ジャケットのパターンについて

【質問】

最近のジャケットのパターンについてですが、肩線が、減らしのある横物のカーディガンのように、ネックポイントから、肩先に向かって後へ引いてあるものがあると思うんですが、どういう意味があるんでしょうか?

ただの縫い目移動でしょうか?何かシルエットに関係がありますか?

【回答】

テーラードジャケットなどは肩の縫い目を後に移動することは昔からあります。

新しいことではありません。

テーラードジャケットは前機能を付けるためにアイロン処理をして前肩が当たらないようにします。

そのためにも肩先の肩縫い目は後にした方が縫い目が邪魔にならないので、処理が容易に出来るということになります。

nyassama : 20:44 | Com (0) | メンズパターンプロフェッショナル topへ ▲