コート比翼(フライフロント)について【後編】

前回の続きです。

コート比翼(フライフロント)について【前編】 はこちら。

画像をクリックすると拡大します。

【9図説明】
比翼身返し裏布を身返し裏側に返し、比翼身返しの端を
整えながらアイロンを掛けます。
切り込みを入れた角も、きれいに出してアイロンを掛けて下さい。

【10図説明】
身返し比翼の表側から前端のコの字形に、
コバステッチを掛けます。コバステッチを掛ける際、
比翼身返し裏布が覗かないよう注意して下さい。

【11図説明】
身返し比翼が完成しましたら、先に釦ホールをかがります。
釦ホールの位置は、4図にも示しておりますが、
図の様になります。釦の数はデザインです。

11図説明の釦ホールは、身返しの表側を釦ホールの表としてかがって下さい。

【12図説明】
前身頃の表側へ身返し比翼を裏側にして(中表)
乗せ躾糸止めを行います。

【13図説明】
13図の身返し比翼を前身頃へ乗せた後に、
前身頃比翼裏布を、その上に乗せ躾縫い止めを行います。

【14図説明】
通常の前身頃と身返しを地縫いする方法で
ミシン地縫いを行い、終了しましたら、身返しを返して
アイ ロン掛けをします。

【15図説明】
前身頃と身返しの返しが終了しアイロン掛けも終りましたら、
前身頃と身返しを避け、比翼身返し裏布と前身頃比翼裏布のみ2枚を
ミシン地縫いで止めます。前端の出来上がりまでミシン止めして下さい。
前端の縫い代も一緒に縫って下さい。

【16図説明】
比翼仕様の作業は最終段階に入ります。
比翼止めステッチを掛ける前に必ず躾糸止めを行ってから
ステッチを掛けて下さい。次ぎにグリカンは、比翼の両端が
身返しと身頃が浮いている状態です、釦ホールの間と、
両端の角をグリカンで固定します。

いかがでしたでしょうか?

パターン作成を始めようと思う時、スムーズにいかない時
がありますよね。そんな時に利用して下さいね。

何かわからない部分などがありましたら
お気軽にメールください。

それではまた次回!


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コート比翼(フライフロント)について【前編】

おはようございます。

今日は朝から雨です。たまに雨が降ると気持ちが
ホッとしませんか?私だけかな。

気持ちをホッとさせて思い出したのですが、
大昔、コートの比翼(フライフロント)のパターンを
作成していて、パーツの使い方で頭が
混乱したことがありました。

なので、今日は比翼について説明します。

今更説明するまでも無いと思いますが、
比翼とは、釦(ボタン)を見えないようにする為の
仕様の事で、ジャケット・コート・パンツ・シャツ等に
多く使われています。

ここでは、一番多く使われるコートの比翼について
説明します。

比翼のポイントは、身頃から比翼身返しの控え量・
釦の大きさ及び釦位置の関係・比翼に必要なパーツです。
それぞれのパーツの役目が分かれば、
色々なアイテムに応用できます。

今後、他のアイテムの比翼仕様も計画していますので、
今回はコート比翼を頑張って下さいね。

長くなりそうなので、前編と後編に分けました。

コート比翼(フライフロント)について【後編】はこちら

では参りましょう。

画像はクリックすると大きくなります。

【1図説明】
コートやジャケット等の重衣料の場合、平画のように
前身頃の中心にステッチが掛っているデザインを多く
見ると思います。この部分の身頃裏側(身返し側)が
比翼仕様 になっています。

【2図説明】
身頃を裏側にすると比翼の部分は、身頃前端から0.8p程、
身返しを控えています。この意味は、釦を掛けた時、
引っ張られて身返しが表身頃から覗かないためです。

【3図説明】
ここでは、比翼で使う各パーツの数字です。
大きさによっても異なりますが、コートとしては標準的な大きさ
になります。又、釦の大きさやアイテムによってもステッチ巾等が
変りますので変化させて下さい。

【4図説明】
アイテムによってサイズは異なりますが、コートの場合の
身返しの控え量、及び釦ホールと周囲のサイズは図の様になります。

ここで注意する点は、釦の大きさに対しての釦ホールの
位置です。釦ホールの位置を間違えると、釦が表から
見えてしまいます。

従って、他のアイテムで行う比翼は釦の大きさで
判断して下さい。又、釦の位置が適切でない場合は
使用感が悪くなるので位置には注意が必要です。

【5図説明】
@の前身頃は必要なことですが、A前身頃比翼裏布は、
その前身頃の裏側へ付きます。C身返し比翼の裏側には、
Bの比翼身返し裏布が付き、その裏側にDの比翼身返し
力芯が付きます。

この5パーツが、比翼仕様を行うために必要なものです。
比翼仕様の場合は、内側に釦が付きますので、
釦ホールを先にかがる必要があります。
後からかがることは、とても不可能です。

【6図説明】
比翼身返し裏布力芯を比翼身返し裏布の裏側へ躾止めか、
のりで止めます。躾止めの場合も、のり止めの場合も縫い代の
部分に止めます。

のりの場合、裏地に付けますので、あまり多く付けないよう
注意して下さい。

【7図説明】
身返しの上に、6図で比翼身返し裏布に付けた
比翼身返し裏布力芯側を上にして、躾止めを行います。
躾止めは、ミシン地縫いをする際に止めた方が
布ズレを起さずミシンが掛けれます。

【8図説明】
身返しと比翼身返し裏布を躾糸で止めた後で、
比翼控えの部分をミシン地縫いします。上部は直角に縫い、
下部は、比翼ステッチ掛け出来上がり想定線に添ってミシンを
掛けて下さい。終了後、斜めに切り込みを入れて下さい。

コート比翼(フライフロント)について【後編】はこちら


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折り伏せセンターベント

今回は図を入れてみる事にしました。

やはり言葉だけではわかりにくいですし、
文字で伝えるには限界があります。

図を入れる事によって、伝えられる幅が広がった
かなと思っています。

さて、今回は折り伏せセンターベントについて
説明したいと思います。

折り伏せセンターベントは、カジュアルジャケットで
裏が無い仕様や、袖先の開き等に多く使えます。

方法は分かっているけど、なかなかイメージしにくい
部分もありますので、図解入りで説明させて頂きます。

今回学ぶ部分を忠実に実行することで、
今よりももっと速く、そして正確な作業を進める
事ができます。是非、しっかりと読んで復習して
くださいね。

この、折り伏せセンターベントの図をプリントアウトし、
コピーして切り抜き、以下に説明するマニュアルに沿って
折ることで、本番前のシミュレーションが出来ます。

是非お役立てください。

この折り伏せセンターベントの図は、メンズ用、
レディース用で左右を変えていますが、以下に説明する
図1〜図12までの製作図はメンズ用になっています。

ちなみに、レディース用はこちら。



画像をクリックすると拡大します。

※上後・下後身頃の切り込みの違いに注意すること。
※縦方向の切り込み止まりは、2本のステッチの間で止めます。
※センターベントで入れた切り込みは、最後のステッチで完全に止まります。
※背中心(C.B)が折り伏せ縫いの場合、下後身頃の縫い代は、上後身頃縫い代より巾が培の巾になります。
※このセンターベントの仕様は、後身頃に裏地を使用しない場合に用います。

それでは以下の手順に従って作業してください。

■折り伏せセンターベント工程(裏無しカジュアル用)


【1図説明】
センターベントの裏に折られる部分の2箇所に
オーバーロックを掛けて生地の糸が、 ほつれな
いようにします。


【2図説明】
上後身頃と下後身頃の〇印双方に切り込みを入れま
すが、切り込み過ぎないよう注意し正確に行うこと。
又、折り伏せ折り代は表側へアイロン折りします。


【3図説明】
オーバーロックが掛っている方の折り代をアイロン
で押え、コバステッチを掛けます。


【4図説明】
後身頃の双方を中表にして、 〇印の上後身頃切り込
みから下後身頃の折り伏せ折り代を出します。

この時、双方の切り込みは、お互いに食い込む状態に
なります。 正しく出来たら後中心ミシン地縫い準備
の躾止め縫いをして下さい。 


【5図説明】
後身頃中心(C.B)に、ミシン地縫いをします。
返しミシで始め、 センターベント止まりの位置は
正確に返しミシンで終了して下さい。

【6図説明】
後身頃中心(C.B) の縫い代に折り伏せステッチを
掛けます。ステッチ縫いの終りは、センターベント開き止ま
りまでで、糸を長くして裏側で結んで下さい。


【7図説明】
下後身頃のセンタベントを返すと図のようになります。
次ぎに上後身頃のセンターベント上部を、折り線から
上の折り代を手前に折ります。
曲がらないようアイロンで折って下さい。

【8図説明】
後後身頃のセンターベントを折り山線で、きれいに
アイロンが出来ましたら、上部を折り線から上の折り代を
向こう側に折ります。
曲がらないようアイロンで折って下さい。


【9図説明】
センターベント止まりの廻りをミシンステッチで止め
ますが、この時注意したいことは、センターベントが
裾まで真直ぐ上後身頃と下後身頃が平行であることです。
躾糸で止めてから行うと良いでしょう。

【10図説明】
センターベントの処理が完了しましたら、 裾上げステッチ
縫いをします。
裾上げは、最後に行いますが、事前にアイロンでヘムを
折り、躾糸で止めてから行うと良いでしょう。


【11図説明】
センターベント下後身頃は表から見ると下側になります。
従って、下後身頃が上後身頃から出ないように注意して
裾を上げて下さい。

下後身頃裾のステッチを掛ける際は、 上後身頃を避け
て掛けて下さい。

【12図説明】
表側から見た図です。 ここでは図のようなステッチですが、
工夫のしかたで色々なステッチの入れ方が出来ます。

例えば、センターベントの開いている部分に上からの
ステッチの延長で入れても結構です。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回お話した折り伏せセンターベントのテクニックは、
作業効率を上げるためには必要不可欠な部分なので、
是非ともマスターして下さいね。

また、感想や質問なども受付けますので
何かわからない部分などがありましたらお気軽に
メールください。

それと、ここで紹介している図は私に著作権が
ありますので、無断転載はご遠慮くださいませ。

それではまた次回!

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